日本の敵速報

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【#デイリー新潮】日米中ロの首脳をストーカーする文在寅、韓国国民の前で虚妄の“外交大国”を演出

 首脳会談を日米中ロに哀願する文在寅ムン・ジェイン)政権。「大国も北朝鮮も操る外交大国」を演じるための偽装工作だ。(鈴置高史/韓国観察者)

「短時間でいいから韓国に来て」
 5月28日、韓国外交部が国会議員と現職の外交官を「機密漏洩」で告発すると発表した。発端は最大野党、自由韓国党の姜孝祥(カン・ヒョサン)議員が5月9日、会見で以下のように語ったことだ。

文在寅大統領がトランプ大統領と(5月7日に)電話協議した際、「短時間でも韓国を訪問して欲しい」と述べ、(5月下旬の日本訪問後の)訪問を説得した。
●これに対しトランプ大統領は「興味深い問題だ」と言いながらも「日本訪問後に短時間立ち寄れば十分だろう」「在韓米軍の前で文大統領と会うことが可能か考える」「最終的にはボルトン国家安全保障補佐官に5月下旬の訪韓が可能か検討させる」と答えた。
 青瓦台(大統領府)はこの発言に強く反発。報道官が直ちに「外交慣例に反する根拠のない発言だ」と批判した。
 外交部も姜孝祥議員の高校の後輩である外交官がこの電話協議の内容を漏らしたと明らかにしたうえ「機密漏洩事件」と銘打って反撃に出た。
 すると保守派は「機密漏洩と言うなら、姜孝祥議員の発言は事実ということになる」と政権側の主張の矛盾を追及した。

同盟破綻を隠す「物乞い外交」
 自由韓国党も追及の手を緩めなかった。5月23日には羅卿瑗(ナ・ギョンウォン)院内代表が「トランプ大統領にどうか一度来てほしいと乞うたのではないか。韓米同盟の破綻を隠すために、どうにかして握手する写真を見せようとしたのではないか」「外では物乞いし、内では欺瞞し弾圧する政権」と決めつけた。
 朝鮮日報も5月25日、社説で「こんなことが機密に当たるのか。青瓦台も電話協議後にはトランプ大統領訪韓に関し議論したと公表したではないか」と批判した。
 産経新聞文在寅政権を苦境に追い込んだ。5月27日の「トランプ氏、安倍首相に韓国への困惑伝える 『北と全く話進まなくなった』」は、トランプ大統領安倍晋三首相に「文氏から『来てくれ、来てくれ』と再三にわたり訪韓要請を受けた」と語ったと伝えた。「物乞い」を日本の新聞に確認されてしまったのである。
 文在寅政権が国会議員と外交官を告発すると発表したのは、追い詰められたあげくの負け惜しみだ。これも韓国の保守からは「だったら“機密”を安倍首相に漏らしたトランプ大統領も告発したらどうか」と揶揄されてしまったのだが。
「機密漏洩事件」は韓国政界のドタバタ事件に留まらない。羅卿瑗・院内代表がいみじくも語ったように、米韓同盟は破綻の危機に瀕している。
 国民から悟られないうちに静かに同盟を解消に持ち込もうとする親北左派と、それを阻止しようとする親米保守の戦いが始まったのだ。

文在寅の口を封じたホワイトハウス
 ホワイトハウスは6月28、29日に大阪で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議の前後にトランプ大統領が韓国も訪れ、文在寅大統領と会談すると5月15日に発表した。
 韓国の「物乞い」に根負けしたのだろう。ただ、意味ある会談になると期待する外交関係者は皆無だ。主要議題となるのは北朝鮮の非核化だ。トランプ政権は経済制裁を続ければ、北朝鮮は音を上げると踏んでいる。
 これに対し文在寅政権は体制が揺れる金正恩キム・ジョンウン)政権を助けようと、援助を画策する(デイリー新潮「文在寅金正恩の使い走り、北朝鮮のミサイル発射で韓国が食糧支援という猿芝居」参照)。
 米韓首脳会談がうまくいくわけはないのだ。それどころか会談が決裂し、同盟が崩壊に向け一気に動きださないとも限らない。
 4月11日にワシントンで開いた米韓首脳会談では、両大統領だけの単独会談はたったの2分間に終わった。それも両夫人が陪席するという奇妙な形式だった(デイリー新潮「米韓首脳会談で赤っ恥をかかされた韓国、文在寅の要求をトランプはことごとく拒否」参照)
 ホワイトハウスは決定的な亀裂が入ることを避けるため、会談冒頭の記者団とのやり取りを引きのばして文在寅大統領の発言を封じたのである。
 米政府が運営する放送局VOAが「米韓首脳会談、北朝鮮の石炭は? 中ロも突破口を模索か?」(4月13日、英語による動画、字幕は韓国語)ではっきりとそう報じた(開始6分25秒から)。https://www.voakorea.com/a/4873937.html

安倍首相にも「韓国は不快」
 トランプ大統領自身も、会談する意味のない文在寅大統領と会うのは時間の無駄と考えているのに違いない。だから5月7日の電話協議で首脳会談を持ちかけられた際も「在韓米軍の前で会う」と言ったのだ。訪韓するのなら米軍を激励する旅にしたい。そのついでに会うのはやぶさかではない、という意味だ。
 安倍首相に「『来てくれ、来てくれ』と再三にわたり訪韓要請を受けた」と語ったのも、ストーカーのように付きまとわれる不快さを思わず漏らしたということだろう。
 もっとも文在寅政権としては、どんなに嫌われようと米国との首脳会談が必要だ。羅卿瑗・院内代表が指摘したように、米韓同盟が破綻しかけていることを国民に意識させないためだ。
 トランプ政権は米韓同盟の廃棄を交換条件に北朝鮮の非核化を目指す(拙著『米韓同盟消滅』(新潮新書)第1章「離婚する米韓」参照)。
 親北文在寅政権にとっても米韓同盟の廃棄は願ってもない。ただ、そう言い出せば保守に加え、普通の韓国人も死に物狂いで反対するであろう。だから今現在は「米国との固い絆」を演出して見せるのだ。

 一方、トランプ政権も今現在は「韓国との同盟」を重視するフリをせざるを得ない。「非核化」と交換する前に同盟が破綻すれば、取引材料がなくなってしまうからだ。このため、渋々にしても、訪韓要請を受けたのであろう。
 もちろん米韓の「かりそめの同盟堅持」は、いずれ破綻する可能性が高い。文在寅政権が北朝鮮の非核化を、体を張って阻止するからだ。
 米韓同盟を廃棄すれば米国の核の傘も消滅する。自前の核を持たない限り、韓国は北朝鮮の核を「民族の核」として頼りにするしかなくなるのである(拙著『米韓同盟消滅』(新潮新書)第1章「離婚する米韓」参照)。

「仲裁者」のお株を奪う日本
 文在寅政権は日本に対してもG20の場を生かした日韓首脳会談を打診する。ただ、当初は本気ではなかった。
 5月9日、就任2年を記念した会見で日韓関係について聞かれた文在寅大統領は「日本の政治指導者が常に国内政治問題として扱うため、歴史問題は解決しない」と語り、安倍晋三首相に関係悪化の責任を全面的に押し付けた。
「(G20首脳会議で)訪日するので、その際に安倍首相と会談できればよい」とも答えたが、「責任転嫁発言」から考えて、会談には乗り気ではないと受け止められた。
 だが、5月25日からのトランプ大統領の3泊4日の訪日で風向きが変わった。日米の蜜月ぶりを見た韓国人が自らの孤立を痛感したからだ。
 中央日報は社説「日米は蜜月なのに韓国は『蚊帳の外』」(5月28日、日本語版)で「日本が米国との関係強化を基に北朝鮮との仲裁者になるかもしれない」と警告を発した。
 米国とも日本とも関係が悪化した韓国は、「仲裁者」というお株を奪われるとの焦りの表明だ。日本からすればあまりの過大評価だが、韓国からはそう見えるのである。

「安倍が恥をかくぞ」
北朝鮮との仲裁者」が唯一の売り物の文在寅政権も、このままではまずいと考えたのだろう。韓国政府の関係者が日本の外交関係者に日韓首脳会談に応じるよう訴え始めた。
 もっとも韓国政府には、対日政策を軌道修正する考えはみじんもない。日韓の外交的な約束を踏みにじったいわゆる「徴用工」判決も放置する。自衛隊機に向けての射撃管制レーダー照射も「なかった」と言い張る。
 日本はそんな韓国を相手にしない。すると韓国側は、「G20を主宰する安倍首相が客として呼ぶ文在寅大統領と会わなければ、日本が恥をかくことになる」との理屈をこねだした。
 もちろん、こんな屁理屈は通用しない。「日本に対し無法を繰り返す韓国の大統領と安易に会うほうが恥をかくことになる」と言い返されたらお終いなのだ。
 そもそも北朝鮮核武装を幇助する韓国とG20を期に首脳会談を開けば、日本は世界に誤ったメッセージを送ってしまう。
 トランプ大統領と同様、安倍首相も「会っても意味のない人」にストーカーされるに至ったのである。

習近平にもプーチンにも
 文在寅大統領に追いかけられる、という点では習近平・中国国家主席も同じだ。4月30日、青瓦台の報道官は「韓中の首脳会談を推進するために中国側と緊密に意思疎通している」と語った。
 これを受け、中央日報が「習近平氏は訪韓するのにトランプ氏が来なければ? 韓国外交当局が苦心」(4月30日、日本語版)で「習近平主席が大阪でのG20出席を利用して訪韓する可能性がある」と報じるなど、韓国では中韓首脳会談の6月末開催が既定事実のように語られていた。
 だが、これも「韓国の妄想」だった。5月25日に韓国各紙がソウル市内のホテルの予約がキャンセルされたことを理由に「習近平の6月訪韓なし」と報じた。
 5月28日の中国・外交部の定例会見で韓国記者から「訪韓取り消し」に関し聞かれた報道官は「私はそんな計画も取り消しも聞いたことがない」と冷ややかに答えた。
 習近平主席の訪韓北朝鮮訪問とセットで語られていた。米中経済戦争が激化する中、米国との関係悪化の危険を冒して習近平主席が訪朝する可能性は低い。
 それなのに韓国人は「米国の大統領も同時期に呼んであるから、ソウルが米中両大国の外交舞台になる」と言い合っていたのだ。
「呼びつけられる」という意味ではプーチン大統領も同じだった。4月25日、文在寅大統領は訪韓したロシアのパトルシェフ安全保障会議書記らと会談し「できるだけ早い時期にプーチン大統領訪韓することを願う」と述べた。ロシア側は返事をしていない。

全方位ストーカーで皆が迷惑
 周辺各国に仕掛ける文在寅大統領の全方位ストーカー外交。「米朝間での仲介役」を演じるという背伸びが原因だ。
 米朝の情報機関が首脳会談の開催で合意した時、面子を失うことを恐れた韓国が「仲介したフリ」をさせてくれるよう米国に頼み込んだ。
 韓国に会談を邪魔されることを懸念した米国はその役割を演じることを許した。だが、韓国の実力はすぐに馬脚を現わし、北朝鮮からは「使い走りもできない」とバカにされるに至った(デイリー新潮「金正恩文在寅を“使い走り以下”の存在と認定 韓国『ペテン外交』の大失敗」参照)。
 そんな韓国を見て、日本も日韓首脳会談にますます消極的になった。拉致問題解決のため、韓国に「北朝鮮との橋渡し」を期待しても意味がないからだ。
 米国にとっても韓国は「いつか捨てるためのカード」でしかない。中ロが見ても、韓国は国際関係に影響を及ぼす力を一切持たない。
 周辺国からは実力をすっかり見透かされているのだが、韓国人はいまだ自分の国が大国をも仕切る外交大国と信じたい(拙著『米韓同盟消滅』(新潮新書)あとがき「中二病は治るのか」参照)。

 文在寅大統領はまだまだ「仲裁者」を演じ続けねばならないのだ。ストーカーされる側にとってはいい迷惑なのだが。

鈴置高史(すずおき・たかぶみ)
韓国観察者。1954年(昭和29年)愛知県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。日本経済新聞社でソウル、香港特派員、経済解説部長などを歴任。95~96年にハーバード大学国際問題研究所で研究員、2006年にイースト・ウエスト・センター(ハワイ)でジェファーソン・プログラム・フェローを務める。18年3月に退社。著書に『米韓同盟消滅』(新潮新書)、近未来小説『朝鮮半島201Z年』(日本経済新聞出版社)など。2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。

週刊新潮WEB取材班編集
2019年6月2日 掲載