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【#現代ビジネス】韓国経済に大打撃を与える「労働組合の暴走」文政権が拍車をかけ…

景気悪化も気にしない労働組合
 韓国は昨年の秋から景気後退に陥っている。韓国の潜在成長率、すなわち景気が良く「本当の実力」を発揮した場合の経済成長率は3%程度であるが、2018年に引き続き2019年の経済成長率も3%に届かないことは確実である。

 韓国は米中貿易戦争を背景とした中国景気悪化の影響を受け、2019年1~8月の対中輸出が前年同期と比較して21.4%減少し、輸出全体も9.6%落ち込んだ。韓国を代表する企業である三星電子(サムスン電子)の純利益も、2019年4-6月は5兆ウォンであり、前年同期の11兆ウォンから半減した。

 韓国経済はこぞって元気がなく弱気となっているなか、労働組合は相変わらず強気のままである。韓国をよく知る人には、「韓国の労働組合といえばストライキ」というイメージがあるかもしれないが、これは間違ったイメージではない。

 ストライキによる「労働損失日数」を、2014年から2018年の5年間の平均値で比較すると、日本は1万日、韓国は91万日である。労働組合員数は日本が韓国の5倍であることを考えると、韓国の労働損失日数がいかに突出しているかわかるだろう。

 韓国の労働組合ストライキを行う理由は、これが要求を通す効果的な方法だからである。

 ストライキに対抗するための使用者側の措置は、「労働組合および労働関係調整法」によって制限されている。使用者側は、ストライキなどの争議行為で中断した業務を行うために代替要員によって業務を再開することが認められていない。

 また使用者側が労働者を事業場から締め出すロックアウトも制限されている。つまり、ストライキをしている労働者を締め出し、事業を再開することができないのである。

 使用者側はストライキに対抗する効果的な手段を持たず、ストライキを打たれると操業が中断してしまい損失を被る。よって労働組合は無理な要求を行い、使用者側は最終的に大幅な譲歩を余儀なくされる。

 韓国経済研究院の調査によれば、景気後退が深まった2019年において、労働組合は平均で6.3%の賃上げを要求しており、依然として強気な要求を崩していない。

 また最近の象徴的な出来事としては、韓国GM(General Motors)のストライキが挙げられる。韓国の複数のメディア報道によれば、韓国GMは、2014年以降、5年連続で赤字となり、赤字の累積額は4兆ウォンを大きく超えた。

 このような危機的な状況に陥るなか、同社の労働組合は2019年にも5.7%の賃上げ要求を行った。さらに成果分配金として通常賃金(基本給や定期賞与金などを合わせた賃金)の2カ月半分に相当する1000万ウォンに加え、激励金として600万ウォンも要求した。使用者側は当然応じず、労働組合は8月20日から10月11日までストライキを行った(9月9日からは全面的なストライキ)。

 韓国の景気が悪化するなか、労働組合の暴走は止まる気配が見えないが、これは短期的には景気の足を引っ張ることとなる。ストライキが発生すれば、生産が行われないなかで固定費がかかり続けるので企業利益が減少し、ひいては雇用や設備投資の減少につながる。

 また中長期的には国内の雇用が失われる要因となる。労働組合の強気な賃上げ要求により輸出企業の価格競争力は削がれる。そこで企業は安価な労働力を確保するため東南アジアなどに工場を移すこととなる。

労組が加速する「格差」
 また、労働組合の行動は、大企業と中小企業の格差を拡大させ、ひいては若者の「中小企業離れ」を助長している。どういうことか。

 韓国の労働組合の組織率は2017年で10.7%に過ぎないが、300人以上の事業所は57.3%と高く、大企業であるほど労働組合の力が強い傾向にある。そして韓国の労働組合の大半は企業別組合であり、労使の合意が及ぶ範囲はその企業内だけである。よって、労働組合の強い交渉力の恩恵は、主に大企業の労働者が独占している。

 組合の行動が、大企業と中小企業の格差を広げる理由はほかにもある。無理な賃上げは人件費の高まりを通じて企業の競争力を弱める。大企業の主要マーケットは海外であることも多く、グローバル競争に直面しており、人件費上昇を別の費用を削減することで相殺させなければならない。

 そこで大企業は、下請けの中小企業に対し、納入する部品の調達価格を引き下げるよう要求した。中小企業は、不均衡な力関係ゆえに、大企業からの理不尽な要求を拒否することは難しく、企業存続のため人件費を圧縮すべく自社の労働者の賃下げを行った。

 雇用労働部(日本の厚生労働省にあたる)の「事業体労働調査」によれば、大企業従業者を100とした場合の中小企業従業者の賃金は、1993年には73.5であったものが、2018年には52.8にまで低下している。

 大企業と中小企業間で賃金格差が拡大しているが、その要因のひとつとして、大企業の正社員が過剰に優遇されこの費用が下請け中小企業に転嫁されたことが挙げられる。大企業と中小企業の賃金格差拡大は、若者の中小企業離れを助長している。

 若者はステータス面からも大企業への就職を好んでいるが、賃金格差によりさらに若者は中小企業への就職を避けるようになり、中小企業の人材難に拍車がかかっている。これは中小企業の成長を妨げるため、中長期的な韓国経済の発展に大きなマイナスとなる。

労組が求める「特権」
 ストライキを武器とした労働組合の要求は賃金だけに限らない。「特権」とも受け取れるような要求もしているのだ。2016年に雇用労働部が行った調査によれば、100人以上の労働組合がある事業所のうち、25.1%が優先・特別採用を定めた団体協約を結んでいた。これは、新規採用に際し、定年退職者や長期勤続者の子女などを優先する取り決めである。

 さすがにこの労働協約は違法であり是正が進んでいると考えられるが、明文化されていなくても何らかの優遇が残っていると考えることが自然であろう。そしてこの要求は、企業が生産性の高い人材を確保する際の障壁となり、韓国経済の中長期的な発展にマイナスとなる。

 労働組合の暴走は今に始まったことではないが、景気の悪化が深刻化している今だからこそ、政府はこれを抑制しなければならない。しかし、労働組合が支持母体である文在寅政権にこの役割を期待することはできず、どんなに景気後退が深刻になっても、労働組合が弱気になることはあり得ない。

 文在寅政権は、財閥の経営改革に力を注ぐとしてきた。しかし財閥問題の最重要課題は、特に財閥で強力な労働組合が韓国経済に与える短期的・中長期的の悪影響を解消することである。文在寅大統領も問題の本質を見極め、適切な経済政策を打つことが求められよう。

高安 雄一