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【#文春オンライン】文在寅、「日韓関係修復」への“意欲”と“危険”……チョ・グク妻逮捕で流れは変わった

 韓国の曹国(チョ・グク)前法相の妻、チョン・ギョンシム東洋大教授が10月24日未明、業務妨害などの疑いで逮捕された。チョン教授には、長女の入試不正や不正な金融投資、証拠隠滅など計11件の疑いがかけられており、夫の曹国氏に対する事情聴取も近く行われる見通しだ。
 一連の動きは韓国の政局や日韓関係にどのような影響をもたらすだろうか。

 まず、文在寅大統領が曹国氏を法相に起用した最大の理由とされた、韓国検察の改革は予定通り、実施されるだろう。韓国政府は15日の閣議で、検察特捜部の縮小を目玉とする機構改革を決めた。検察も被疑者の人権を守るルール作りを進めている。いずれも、曹国氏の法相辞任への道筋をつけるため、急ぎ決定されたものだ。

 検察改革は保革双方が求めていた政治課題だった。韓国大統領府の元高官は「韓国は現代でも、統治にnaked power(むき出しの権力)を使う」と語る。その象徴が、過去の軍部や情報機関であり、現在の検察だった。検察改革の急先鋒だった曹国氏ですら、検察を統率する大統領府民首席秘書官時代、情報保護を名目に国家公務員の携帯電話を丸ごと検閲して、周囲から恨まれた。

 次に文在寅政権の政治運営には、変化の兆しが見え始めている。

文氏が反対意見に耳を傾け始めた
 文氏は7日の大統領府幹部会議で、3日にあった大規模な反文在寅集会に言及。「多様な国民の声を厳粛な気持ちで聞いた」と語った。韓国政界筋の一人は「ネロナンブル(他人がやれば不倫だが、自分がやればロマンス)とも揶揄された文政権にあって、反対意見に耳を傾けたのは初めてではないか」と語る。

 文政権は従来、「(進歩・左派)陣営の論理」で動くとされてきた。盧武鉉元大統領の支持勢力などから請われて大統領になった文氏は、「陣営ネットワーク」に頼る傾向が強かった。曹国氏も、自身の行動を「抗日運動」になぞらえる動きを見せていた。同筋は「文氏が現実的な政権運営に舵を切るかもしれない」と語る。

 実際、大統領府は日韓関係の修復にも意欲を見せ始めている。

 ただ、政権発足から既に2年半が過ぎた。急旋回したくても、従来の政策との矛盾を突かれ、逆に政治責任を問われる危険もはらむ。

 文政権は李洛淵首相の訪日直前にも、趙世暎外交部第一次官を日本に派遣し、徴用工問題で妥協点を探ったが、日本は応じず、日韓首脳会談開催への道筋をつけられなかった。(その後11月4日、文大統領は訪問先のタイ・バンコクで安倍首相と約11分間、対話した)

 南北関係は破綻寸前で、米韓同盟も揺らいでいる。経済も不調だ。文政権にとって厳しい局面が続く。

牧野 愛博/週刊文春 2019年11月7日号