日本の敵速報

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【#ダイヤモンド・オンライン】韓国で若者の失業が深刻化、文政権の経済運営が環境悪化に追い打ち

● 韓国で若年層の失業問題が 深刻さを増している

 韓国で、若年層の失業問題が深刻さを増している。OECDによると、2018年、同国の全失業者に占める25~29歳の割合は21.6%に達した。7年続けて、韓国における20代後半の失業者の割合はOECD加盟国内で最悪の状況になっている。韓国人の友人に尋ねても、「若い人たちが就職に関して希望が持てない状態になっている」とため息をついていた。

 一部の世論調査によると、若年層を中心に、文在寅ムン・ジェイン)大統領に雇用対策などを求める人々は多い。その背景には、苦しさを増す生活環境を何とかしてほしいという、人々の切実な思いがある。

 しかし、左派の政治家である文大統領にとって、総選挙を控える中で労働組合などの既得権益にメスを入れることは難しい。結果的に、若年層の雇用状況にしわ寄せがいってしまうことになる。ある意味で、文大統領は若年層の窮状に目をつぶらざるを得ない状況に追い込まれているともいえる。

 当面、韓国ではそうした状況が続きそうだ。若年層が将来に希望を持てない状況は、国の今後にとって良いことではない。それは、韓国経済の安定と成長にマイナスの影響を与える。それに加えて、米中の貿易摩擦など、韓国経済を取り巻く不確定要素も増えている。短期間で韓国の雇用環境が改善に向かうとは考えづらい。事態はかなり深刻だ。

● 韓国の若年失業率を 高めた要因

 韓国では20代の失業率が、全体の失業率を上回る状況が続いている。これは主要国の雇用環境とは対照的だ。近年、世界的に人手不足が深刻化している。日米を筆頭に労働市場はタイトな状況にあり、OECD加盟各国においても若年層の雇用は改善基調となってきた。

 その要因の一つとして、韓国特有の経済構造がある。経済の専門家の中には、韓国では職業選択の機会が相対的に制約されているとの見方もある。どういうことかといえば、韓国では労働組合の影響力が非常に強い。雇用環境が悪化すると、労働組合既得権益を守ろうと必死になる。そのため、企業は人材採用に積極的になりづらい状況が続いてきたとみられる。加えて、サムスン電子などの大手企業に就職するには熾烈な競争に勝ち残らなければならない。

 さらに、文大統領の経済運営が雇用環境の悪化に追い打ちをかけてしまった。文氏は、所得主導の経済成長を目指してきた。

 理論的に、所得の増加には政府が、規制を緩和するなどして成長期待の高い分野にヒト・モノ・カネが向かいやすい環境を整備することが大切だ。構造改革を進めるために、政治家は国内の多様な利害を調整し、持続的に経済全体が上向くよう方策を練らなければならない。その上で、研究・開発など民間の取り組み活動がよりサポートされるとの期待が高まれば、企業は設備投資を積み増し、雇用が生み出される。それは所得の増加を支える重要な要素だ。

 しかし、文政権は、この発想とはかなり異なる政策を進めてしまった。さらに、半導体市況の悪化などによって景気が減速する中で、文政権は企業が耐えられないペースで最低賃金を引き上げてしまった。

 この結果、文氏の目論見(もくろみ)とは逆に、収益確保を目指して人手を減らさなければならない企業が増えた。文氏は労働組合など、一部の支持層の支持と引き換えに、経済全体の力を大きく棄損してしまったといえる。文政権が経済運営に最低限必要な専門知識を持った人材を確保できていないと、その体制に懸念を募らせる市場参加者もいる。

● 中国に依存する 経済運営には限界

 韓国の雇用環境の悪化の一因として、最大の輸出先である中国が、経済成長の限界を迎えたことも見逃せない。中国向け輸出は韓国の輸出全体の約27%を占める。2018年以降、中国経済の減速とともにサムスン電子をはじめとする韓国企業の収益は大きく悪化した。それも韓国の雇用環境を軟化させた要因だ。

 文政権は何とかして中国の理解を取り付けて、輸出の減少を食い止めようと必死だ。一方、中国は全くと言っていいほど韓国を相手にしていないように見える。中国としては、韓国が安全保障面を中心に米国と距離を置き、朝鮮半島情勢が自らの意向に沿う状況を目指せればよいはずだ。そのため、中国は韓国への経済制裁を続けている。

 また、消費や生産活動が低迷する中で、中国には韓国をかまうゆとりもない。現在、中国は減税などを進めて個人消費を支えようとしているが、景気はまだ底を打ってはいない。香港の反政府デモや台中関係の先行き懸念などを考えても、中国は国内の社会心理の改善を最優先しなければならない。中国の需要を当てにして、韓国が雇用を中心に経済の安定を目指すことはかなり難しくなっている。

 韓国は、米中通商摩擦などに伴う世界的なサプライチェーンの混乱にも対応しなければならない。IT先端分野での米中の覇権争いは、そう簡単には収束しないだろう。今後、米国政府が韓国の企業に対して中国のファーウェイなどIT先端分野での取引を制限するよう求めることも考えられる。同時に、米国が中国のIT先端分野での取り組みを抑え込もうとすればするほど、中国企業は自力で先端テクノロジーを開発し、収益を得ている。

 韓国の企業が供給網などの再編にかかるコストを負担しつつ、ステークホルダーを満足させられるだけの付加価値を生み出すことができるか、不確実な部分が増えつつある。

 主要な収益源となってきた中国の成長が限界を迎える中、リスクへの対応力を蓄えるために人件費を削減せざるを得ない韓国企業はかなり多いようだ。それは、2019年、韓国の失業保険給付額が前年から25%増加したことが示唆している。

● 高まる韓国の 産業空洞化の懸念

 この状況が続くと、韓国の産業基盤は一段と縮小し、これまでにも増して雇用機会が失われる恐れがある。その展開を避けるためには、文政権が自国の経済の安定と活性化を目指して、真剣に構造改革を進める必要がある。つまり、在来産業から成長分野に経営資源が再配分されやすい環境を整え、新たな雇用の受け皿を生み出さなければならない。主要国の経済の歴史を振り返ると、財政・金融政策の手詰まり感が漂う中、構造改革の推進がその後の景気動向に無視できない影響を与えたことがわかる。

 しかし、文氏は、経済よりも、北朝鮮との関係強化を自力で進めようとしている。米国の懸念をよそに南北統一を夢見る文大統領が北朝鮮を重視すればするほど、朝鮮半島情勢の不安定感は高まりやすい。それは、韓国経済の安定感を損なう要因だ。加えて、人口減少から内需は低迷に向かうだろう。韓国の家計は債務の増大という問題にも直面している。

 韓国企業が自国内で、自力で、成長を目指すことの難しさは増している。生き残りをかけ、海外に出ていかざるを得なくなる企業は増えるだろう。コンビニ業界では営業時間の短縮や、省人化に踏み切り、コストを抑えなければならないケースも増えている。同時に、海外進出や省人化への取り組みが難しい企業もある。

 この状況が続くと、韓国では産業の空洞化懸念が高まるなどし、成長を目指すこと自体が難しくなるだろう。雇用環境は追加的に悪化し、人々の不満はさらに膨張すると考えられる。

 今後の展開によっては、米中経済の減速が一段と鮮明化し、韓国の景気減速・後退懸念が高まる可能性も否定できない。その場合、海外投資家が株を売却するなどして急速な資金流出が起きるなどし、韓国の雇用・所得環境にはかなりの影響が及ぶだろう。

 今のところ、文政権がこうしたリスクにどう対応できるか、妙案が見当たらない。経済界が切望する日韓通貨スワップ協定の再開のめども立たない。今すぐ韓国経済がかなり厳しい状況を迎えるとは考えづらいが、先行きは楽観できない。

 (法政大学大学院教授 真壁昭夫)